佐々木眼科 
福井県坂井市三国町三国東5-2-6 〒913-0016 tel: 0776-88-0033 fax: 0776-88-0233



診療案内糖尿病網膜症や白内障など一般的な眼科も行っていますが,専門である涙道疾患について述べます.

当院について
涙道を扱っている施設でも対象外となるような小児の涙道疾患,涙道手術後に再閉塞した例および極めて難治な涙小管水平部閉塞も積極的に治療しています.涙目を専門とする病院は,まだ国内でも少ないのですが,涙の下水が詰まって涙目にお困りの方は遠慮なく当院にどうぞ.当外来には涙道手術に必要な器具と精通したスタッフが揃っています.
 
涙道手術は2014年で225側(関連病院で執刀したものも含む)行い,初回涙嚢鼻腔吻合術の成功率は約91%でした.


県外より当科にいらっしゃる患者様へ

お近くの眼科の紹介状をご用意の上,当院0776-88-0033に直接お電話下さい.手術日と受診日を決めることができます.金沢,富山や滋賀より当院まで来ていただく回数を最小限(1-2回)にします.

初診時にそのまま手術を行う場合には手術前の準備とご相談が重要ですので当院にご連絡をお願いします.

涙道内視鏡図1.涙道内視鏡先端像.先端外径:0.9mm.画素数10000

涙道(涙の下水)

涙目ってなに

涙の下水道(図2)の病気

  1. 鼻涙管閉塞

  2. 涙小管閉塞

  3. 先天鼻涙管閉塞

福井県以外よりお越しの方へ

涙目って何?

結論から申し上げるとほとんどの涙目を引き起こす病気は適切な治療を行うことで治すことができます.
たかが涙と思われるかもしれませんが,土砂降りの雨の中で自動車を運転している状態を想像してください.いくらワイパーを動かしても前が見にくく運転しにくい状態が目で生じているのです.

ではどのような原因で生ずるのでしょうか.大きく分けて涙の下水の調子が悪いことで涙の排出が悪くなりあふれる場合と,涙が沢山出過ぎる場合があります.

涙の下水の調子が悪くなるのは中年以降の女性に多く,涙の下水が狭いか詰まることで涙目になります.では涙の下水について以下に述べます.

#涙はどこから生まれてどこへ行く?

涙は涙腺より出て,目をうるおしたり,角膜(くろめ)に酸素を供給したり,目の表面の汚れを洗い流します.ではその後の涙はどうなるのでしょうか.一部は目の表面より蒸発しますが,多くは目頭の所にある涙点(鏡でよくみるとわかります)より涙の下水道(専門用語で涙道といいます)を経て鼻腔に排出されます.眼科でもらった目薬をさした後にしばらくしてから苦い感じがすることがあるのは目薬がこのように鼻に抜けるためです.涙を作る涙腺と副涙腺,涙の下水道(涙道)をまとめて涙器といいます.すなわち涙器は涙の上水道と下水道とみなすことができます.悲しい映画をみた後や目にごみが入った時に涙が目からあふれるのは,涙の産生量が増えて涙の下水道の用量を超えてしまった場合です.涙の上水道の病気には,涙の産生量が低下して,目が乾くドライアイという病気があります.次の項目で述べる涙の下水道の病気には,鼻涙管閉塞,涙小管閉塞, 先天鼻涙管閉塞などがあります.


#涙の下水道の病気(成人の鼻涙管閉塞,涙小管閉塞, 先天性鼻涙管閉塞など)


1.成人の鼻涙管閉塞

(ほとんどの鼻涙管閉塞は顔に傷を作らずに直せます)

涙の下水道は普通のパイプのような均一な太さの管でなく,図2上のように涙点,涙小管,涙嚢および鼻涙管より構成されています.なかでも鼻涙管が何らかの原因で詰まることがあります.その状態を鼻涙管閉塞(図2下)といいます.多くの場合詰まる原因は不明ですが,中年以降の女性に多い病気です.症状は目やにと涙のあふれです.目やには詰まった下水道にばい菌が増えて涙嚢炎になったためです.場合によってはばい菌によってまぶたが赤くなったり,結膜炎になったりすることもあります.また涙嚢炎がある状態で白内障手術などの眼球内の手術を行うとばい菌が目玉の中に入って失明することもあります.

治療法は詰まった所を解放して,再度詰まらないようにシリコーン樹脂などのチューブを置く方法と,詰まった所にバイパスを作る方法があります.チューブを置く方法は10分程度で終了しますが,病気が古い方には成功率が悪いのが欠点です.バイパスを作る方法 (涙嚢鼻腔吻合術) は日帰りでも可能な手術です.手術時間は約30-40分です.また涙嚢鼻腔吻合術は顔の皮膚を切らずにする方法(鼻内法)と顔の皮膚を切って行う方法(鼻外法)がありますが当院での手術成績は鼻外:95%,鼻内90%でした.どちらを選ぶかは患者さんと相談して決めています.2013年は95%が鼻内法でした.

術後の通院は5-6回です.遠方のかたは術後お近くの眼科で診てもらうなどご相談に応じます.

涙道のイラスト図2上
図2下
2. 涙小管閉塞

涙小管が何らかの原因で詰まるために起こります. 症状は涙のあふれです.治療法は涙道内視鏡画像を見ながら詰まったところを広げて,再度詰まらないようにシリコ-ン樹脂のチューブを置く方法があり,比較的良く治ります (成功率約90%).当院では涙の下水に涙道内視鏡を入れて詰まったところを先端1 mm程度の特殊なハサミで切開し,シリコーン樹脂のチューブを置いています.入院は不要です.チューブは1ヶ月程したら抜くようにしています.抜くのは目薬で麻酔して数分で終わります.

3.先天鼻涙管閉塞

先天鼻涙管閉鎖について

ほとんどの先天鼻涙管閉鎖は適切な治療で治ります.

涙は目から鼻に抜けるトンネル(涙の下水:専門的には涙道と言います,図2)を通って鼻に排出されることで目に溜まらないようになっています.涙道は胎児の時に作られますが,トンネルが鼻に開く出口に薄い膜が残って生まれてくることがあります.それを先天鼻涙管閉鎖といいます.

症状は片目だけ泣いていない時でも涙が多く,朝起きたときに目が開かないくらい目やにが付いていることです.もちろん両側閉塞の場合には両眼に涙とめやにがでます.生まれた直後は約5-20%の子がなっているとの報告があります.多くの子は生後1歳頃までに自然に治りますが1歳を過ぎると自然に治りにくくなります.治療は経過の観察と針金で閉塞を開放する方法です.生後6カ月までは自然に治ることが期待できますので経過を見るだけです.自然に治らない場合,先端を丸くした針金(専門用語でブジーといいます.)で膜を破り治療します.ほとんどの例は針金で膜を破るだけで治癒します.


針金で膜を破るのは”

膜を破るのは生後7か月を過ぎた場合に行います.抗生物質を内服後に目薬で麻酔をして行います.これは針金で破った時にまれに菌が全身に回るのを予防するためです.針金で破るのに要する時間は数分です.顔に傷も残りません.1回目の成功率は1歳児で95% 位です.2歳で80%位です.再閉鎖した場合再度行います.術後の生活上の制限はありません.ミルクやお風呂も構いません.時に術後に少しの鼻血がでることがありますが,膜を破ったことによるものです.自然に止まります.抗生物質の内服は術前と術後に必ず,目薬は4日間つけます.その後目薬を中止し1~2週間経過を見ます.治っている場合,目やにや涙は劇的に減っていると思います.両目の治療をした場合は,お母さんやお父さんと比べてください.その時に目やにが多かったり,泣いていないときでも涙が貯まるようなら当院にお電話(電話番号0776-88-0033)をして2週間後の午前に再診をお願いします.風邪などで体調不良な場合は受診を延期した方がよいでしょう.


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